Aコケを寄せ付けない管理方法−水質編

 

始めに。自分の水草水槽の水質を把握することはコケを発生させないためにはかなり重要なことです。
水質を測定するには市販の水質検査キットを購入して行いますが色々種類があってどれを見ればいいのか分からないと思います。
ここで市販の水質検査キットで検査できる項目を列挙すると主に以下の種類があります。
@pH値
A総硬度gH、炭酸塩硬度kH
BアンモニウムNH4、アンモニアNH3
C亜硝酸NO2
D硝酸NO3
Eリン酸PO4
F鉄Fe
G酸素O2
H二酸化炭素CO2
I塩素Cl、残留塩素ClO
J銅Cu
@〜Jは何ぞやという方にそれぞれ簡単に説明しますと

@pH値
水溶液中の水素イオン濃度を表す指数であり、水質が酸性、弱酸性、中性、アルカリ性のどれか調べるのに必要です。
A総硬度gH、炭酸塩硬度kH
総硬度はカルシウムとマグネシウムの濃度、炭酸塩硬度はカルシウム、マグネシウム、炭酸の結合濃度のことです。一般的に硬度が低い水を軟水、高い水のことを硬水と呼びます。
BアンモニウムNH4、アンモニアNH3
アンモニウム、アンモニアは魚の食べ残した餌や排泄物、枯れ草などから発生する有害物質のことです。強い毒素であり生態に悪影響を及ぼします。
C亜硝酸NO2
亜硝酸はアンモニアが生物ろ過により分解されることによって発生します(ろ過編参照)。亜硝酸はアンモニウム同様強い毒素であり生態に悪影響を及ぼします。
D硝酸NO3
亜硝酸がさらに分解されて発生します。好気性環境下である水槽では基本的にこれ以上変化せず堆積されます。生物には比較的無害です。
Eリン酸PO4
魚の食べ残した餌や排泄物、枯れ草などが原因で発生し、コケの格好の栄養素になってしまいます。ろ過により分解されず堆積されます。
F鉄Fe
水草の必要栄養素の一つでこれが不足すると主に水草の色が落ちてきたりします。
G酸素O2
水槽内の魚、エビ、ろ過バクテリアなどの呼吸のために無くてはならないものです。
H二酸化炭素CO2
言わずとしれた水草の育成に必要不可欠な元素です。
I塩素Cl、残留塩素ClO
主に水道水に含まれている物質で魚、エビやろ過バクテリアに害を及ぼします。
J銅Cu
水道水に含まれることがあり、少量は水草に吸収されますが吸収されず蓄積されると水槽内の生物にとって大変有害になります。
水に入れるだけのpHメーター
デジタル式のpHメーターはチェッカー
よりも気軽に計測出来ます。

 

まず@pH値、A硬度は直接はコケの要因にはなりません。しかし、pH値、炭酸塩硬度kHは水草の調子を調べる(特に低pH、低硬度を好むホシクサ系の水草類は特に)には最も良い指標になります。
Bアンモニア、C亜硝酸は外部フィルターの調子を見るには良い指標になります。これらは窒素(N)が含まれており、コケの原因元素となりますが、これが大量に発生しているようだとコケ以前の問題となってしまいます(ここではろ過は安定していることが前提で話を進めます)。
F鉄、G酸素、H二酸化炭素は水槽内の生態系にとって必要なものです。あれば随時自分の水槽内の状態を詳細に把握できますが重要度としては特に検査キットを購入してまで計る項目ではないと思います。酸素O2と二酸化炭素CO2は毎日の添加でだいたいどのくらいが適正かは生態の状態(魚の発色そのものや酸欠による鼻上げの有無、エビが元気に手を動かしているか、水草の光合成など)を見ながらやれば自ずとわかります。 結局最後に残りましたE硝酸NO3、Fリン酸PO4がコケの最もたる2大原因元素です。覚えて下さい。 とりあえずコケのみを考えた場合、この2元素が測定可能な検査キットを揃えることをお勧めします。

チェッカーは色々な元素が測定出来ます。
セラには他社にないコケの主原因リ
ン酸PO4を測定できるチェッカーがあ
ります(左上)。

測定頻度は週1回程度コケが発生し始めたかな〜という時期に行うのが良いと思います。
コケが発生する要因というのは一概に硝酸、リン酸がゼロになればコケが発生が全く無くなるといった単純なものではないでしょうし、現実的に生態系を凝縮した水槽で硝酸、リン酸を完全にゼロにするには我々が用意できる設備では難しいと思われます。硝酸、リン酸が最も大きなコケ発生の要因であることは間違いないところです。
特にリン酸は最悪のコケであるラン藻の発生原因として知られています。

コケの原因が肥料や光量が多すぎるというのであれば、その量を減らすのは、肥料なら添加する量を減らす、光量なら照射時間を短くするなり対処が容易ですが硝酸、リン酸が多量に発生した場合、これらはろ過だけでは分解、除去が不可能です。
水槽から早急に排除するためには基本的に換水を行うしかありません。
ただうれしいことリン酸、硝酸を吸着除去してくれるという非常に都合の良い製品が発売されています。

リン酸吸着剤フォスガード
悪玉リン酸を吸着してくれるフォスガ
ードはコケに対する最強兵器の一つ
です。

まずリン酸の吸着除去出来る製品はコトブキ工芸のドクター・バイオ、セラのフォスベックス、シーケムのフォスガード、デュプラのフォスなどがあります。
次に硝酸除去が可能な製品としてはテトラのナイトレイトマイナス、
ホビーのナイトレイトキラー、シーケムのデ・ナイトレイトなどがあります。
※ドクターバイオは本当に額面通りリン酸、硝酸の吸着効果の両方を得られるのであればすばらしい商品です。かなり高い吸着能力があればまさによく商売文句にある“水換え不要”とまではかなくとも水換えの頻度を減らすことが出来るでしょう。
ろ過編でも言いましたが水草水槽は水草自体の浄化能力や入れている(おおよその傾向として)魚が少ないこともあって週1回の水換えを欠かさず行っていれば硝酸、リン酸が大量に蓄積されることはありません。
ただセット初期時はコケ大発生最大警戒期間で本当はやらなければならない頻繁な換水がどうしても出来ない方はこれを使うとかなりコケ抑制効果が期待出来るはずです(短期間で吸着効果がなくなってしまうと思いますが)。
通常の使用開始時期の目安は少しコケが出てきたなと感じたときやラン藻の発生が見られた時に入れてからでも十分だと思います。
これらを外部フィルターか流れのあるところにネットに入れてぶる下げておけばそれらの吸着効果の有効な期間中かなりコケの発生を抑制出来ます(理論上は)。

 

窒素(N)について

 

先にコケの原因元素として硝酸を上げましたが、硝酸というのは元素記号にしますとNO3と記載されます。これを見ていただけると分かる通り硝酸には元素記号Nである窒素が含まれています。ろ過が正常に機能している水槽環境下であれば窒素は分解され、硝化作用によりすみやかに硝酸になります。コケの原因元素が硝酸というのはろ過の効いた水槽下ではすぐに窒素が硝酸になりますからそういう言い方をしていて全くの間違いではないのですが、厳密に言いますと硝化作用の過程にあるアンモニア(NH3)や亜硝酸(NO2)も窒素源を持っており、これらもコケの発生原因となります。
はっきり申しますと本当のコケの原因は窒素ということです。硝酸(NO3)もそのものが原因ではなく、硝酸内の窒素源が原因ということになります。
湖沼などで発生が見られるアオコの発生原因はリン、窒素であるという記述が多く見られます。これはろ過能力の低い湖沼では窒素が硝酸まで分解されずそのまま蓄積されていってしまうため硝酸ではなく窒素という言い方をしていると思われます。
ここではコケの要因として硝酸と単純に言うと説明が付かない部分が出て来てしまったため自分の頭の中の整理というのも含めて書きましたが水槽環境下では当面コケの原因は硝酸という認識で良いと思いますし、行かせていただきます。

当HPでは混乱の元になるため使いませんが、専門書などでは排泄物、枯れ葉から発生する窒素や液体肥料分の窒素を有機態窒素、その後のアンモニア、亜硝酸、硝酸をアンモニア態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素と呼んでいますが名称を厳密化しているかしていないかの問題で内容はほぼ一緒です。


ケイ酸について

 

リン酸、硝酸の2つの他にコケの原因元素としてケイ酸という元素があります。ケイ酸は水槽内で発生することはなく、換水時に水道水の中に混じって入り込みます。
ケイ酸は茶ゴケの発生因子として知られており、ショップなどではケイ酸の量を測定出来る試薬は販売されておらず、気軽に計測出来ないのが現状です。

ケイ酸を水槽に入り込ませないためにはマーフィードのRO浄水器を使えば完璧ですが、RO浄水器は値段が結構張ります。現実的には先に紹介しましたシーケムのフォスガードにはケイ酸を吸着してくれると効果もあると記載されており、これを用いて吸着してもらうか記載はありませんが一般的に売られているコケ抑制剤(テトラアルジミン、セラ アルゴガード)で除去出来ているのではないかと考えます。
そう考えないとコケ抑制剤は何を行ってコケを抑制しているのかが説明が付きません(これら製品には何という元素を除去しているかなどもっと詳細な効果を記載してほしいものです)。

・・・とケイ酸を除去する方法を書きましたが、茶ゴケは発生しても手やブラシ、スクレーパー(ガラス面に発生したもの)などで簡単に取れるほど付着力が弱く、ヤマトヌマエビの大好物です。リン酸や硝酸が原因によって発生するラン藻や黒髭ゴケよりかははるかに被害は少ないと言えると思います。
ケイ酸をわざわざ溶剤を使って意識的に除去しなくても毎週水換えをしていればケイ酸が蓄積されることなく、ほとんど大きな被害になることは考えられません。
コケを抑制する優先順位としては、まずリン酸、硝酸の除去が最優先だと考えますのでそれほどケイ酸除去には神経を尖らせることはないと思います。

 

最後に上記説明してきましたコケ対策のまとめ図です。

 

コケ対策まとめ

 

 

                                         

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